バンブーロッド(2枚合わせ構造)
プロジェクトのコンセプト
FlyRodders誌の2004年1月号に掲載された「一週間でつくるバンブーロッド」という記事があります。
kawagarasuの千葉さんによる、kawagarasu工法というバンブーロッドの作り方の紹介記事です。
(2013年時点でバックナンバーは見つけることができませんでしたので国会図書館に赴いてカラーコピーしてもらいました。)
一般的にバンブーロッドというと断面が正三角形になるように削った竹の棒を6本接着して作ります。
作るための専用工具類がとても高価で、場所も取るので敷居は高いです。
ところがこのkawagarasu工法は身近なカッターなどの工具しか使わず、
構造も2枚の竹片を貼り合わせて作るというシンプルなものです。
なんだか簡単そうなので、
↓
結論だけ、書く。
主にテーパーを失敗した失敗した
そんな時、kawagarasu工法の大先輩であるジョニーさんが真竹をプレゼントしてくれました。
「真の『失敗』とはッ!自作の心を忘れ!困難に挑戦する事に無縁のところにいる者たちの事を言うのだッ!
自作道に失敗なんか存在しないッ!存在するのは自作者だけだッ!」
「お前に全ては説明したッ!LESSON4(フォー)だッ!『敬意を払え』ッ!」
と言われたような気がしました。実際には言ってません。
そんなわけで今度は真剣にやってみようと思います。
目標はッ!
見た目がまともでッ!
渓流での実釣に十分使えるものを作るッ!
※当コンテンツの前に下記コンテンツを御覧になって頂けると
時系列も繋がって大変スムーズかと存じます。
設計図を作る
出来上がりの各部の寸法を先に決めて設計図を作りました。(仕事中に)
面倒臭いですが先にこういう設計図を作っておくと作業中に悩まなくて良いので失敗も減ります。
頂いた竹があまり長いものではなかったので6ピースで作ることにしました。
ネットで有名ドコロのテーパーデータが拾えるので色々眺めた結果、
基本はストレートテーパーで、そうするとスローアクションになるみたいです。
私的にはスローアクションは好きではありませんが、
まずは基本通りにストレートテーパーで作ってみることにしました。
※もっともそれらのテーパーデータは一般的な工法(正三角形6本合わせ)が前提なので
2枚合わせ構造にはあまり当てはまらないのかもしれません。
フェルールの素材とラッピングスレッドの色、
最終的にブランクの断面をどんな形(四角、六角、丸など)にするのかはあとで決めることにしました。
それとロッドネームもイマイチ思い付かないので誰か名付け親になってください。(他力本願)(ハルク・ホーガン)
詳しくはこちら↓です。
バンブーロッドの名前を募集します。
(募集は終了しました)
竹割り~四角整形まで
竹割りから四角整形までの細かい作業はこちらを参照してください。
画像は何点か転載します。
「火入れ」も「矯め」もとても大事な作業です。
電気コンロと自作の「矯め木」で行いました。
失敗して破棄したものも含めると竹箸と合わせて16本ほど火入れを行いましたが、
全然コツが掴めていません。
でも嫌いな作業ではないです。
設計図通りの厚みになるように時々ノギスで測りながら削って行きます。
測る回数が尋常じゃないのでノギスはデジタル表示のものが楽です。
接着面は平であればあるほど出来上がりが綺麗になるので、今回はカンナとサンダーを導入してみました。
接着には強力タイプの木工用ボンドを使いました。
接着する際にクランプで固定する時はあまり強く締め付けないのがポイントです。
こんな感じのを設計図通りのサイズで6本作って行きます。
削り過ぎてしまった時のことを考えると、バット側から作って行くのが良いと思います。
(削り過ぎたら、ティップ側として再利用できる為)
なので6ピース分まとめて竹割りをせず、
竹割りから四角整形までを1セットとしてピース分だけ繰り返します。
火入れが安定しないので表面の色も不安定です。(悲)
作業的には 結構しんどかったです。
6ピース作るのに12本削るわけです。
慣れないせいもあり1ピース作るのに6時間くらい掛かってます。(接着の乾燥時間を除く)
腕が毎日筋肉痛です。
最先端と爪楊枝の比較。
対面幅は1.7mmです。
接続部分の断面積は同じになっている筈なので、
こういう置き方から、
こんなふうに互い違いに向きを変えると、
当然こんなふうに隣とピッタリ同じ断面積になります。
テープで繋げて振ってみる
四角整形はかなり気合いを入れて綺麗に正方形にしましたから、
これで問題なければ四角整形のまま最終形としてしまうつもりでした。
最終的にどんな感じになるかイメージする為に、この時点でテープで繋げて振ってみることにします。
3cmほど重ねてマスキングテープ(図の赤い部分)で巻き止めます。
この状態で軽く振ったり天井に押し当てたりしてみたところ、
堅い!そして重い!
失敗した失敗した失敗した失敗した
イメージしてたのと全然違いました。
この結果、最終形を丸整形もしくは八角整形の2択にしました。
八角形に整形する
とりあえず現時点で八角形にしてみます。
八角形と言っても正八角形ではなく、正方形の角を多めに落としただけの八角形です。
直角は目で見てすぐにわかりましたが135°というのは全然わかりません。
フリーハンドでの作業なので四角整形時に比べて正確性が著しく低下して、
綺麗な正方形だった断面がどんどんイビツな八角形になっていくのは悲しかったです。
これで再度テープで繋げてみたところ、だいぶ軽く、そして柔らかくなりました。
重さは2/3くらいになっているんじゃないでしょうか。
削る前の状態を計量していなかったのが悔やまれます。
この八角形で問題なければこのまま最終形にしてしまおうと思います。
ダメなら丸整形です。
竹フェルールを作る
設計図にあるように今回考えているフェルールは逆並継(スリップオーバータイプ)で、
マルチピースなので軽さ重視で素材は竹かカーボン、もしくはグラスで考えていました。
ここで今まで作ったことのない竹フェルールにかなり興味が出てしまいました。
ブランクと同じく竹から作り出せることがとても魅力的です。
またまた竹を割って火入れ、矯めをしてから ひたすら削って所謂「平竹ひご」状態にして行きます。
目指す厚さは0.8mmです。
たくさん作ることになるので、楽をしようとしてできるだけ幅広く作ったら削るのがとても大変でした。
こんな感じで四角形に接着します。
このままだと強度はカニベース並(超人強度2パワー)に弱いので、
ナイロンスレッドを巻いてエポキシコーティングを施します。
これで完成です。
お手本にしたサイトさんのものとほぼ同じ見た目で作ることができました。
1ピース分のフェルールを作るのに掛かった時間は7時間。
5箇所分も作るので単純計算であと28時間掛かることになります。
慣れたらもっと早くなるかもしれないですが、正直これは厳しいです。
摺り合わせはとても楽です。
オスフェルールに被せるようにして接着するので、摺り合わせ作業は必要ないのです。
ん~~~・・・。
実際に作ってみると、見た目がどうもあまり好きではありません。
画像は一番太い5ピース目のフェルールですが、ブランクの対面幅が約6mmで、
フェルールの厚みが上記の通り0.8mmあります。
これでも結構フェルール部分の太さが気になります。
これが1ピース目になると、ブランクの対面幅が約2.5mmでフェルールの厚みは変わりませんので、
フェルール部の対面幅はスレッドを考慮すると5mm近くなってしまいます。
このまま行くと、 出来上がった1ピース目のごんぶとフェルールを見て
「失敗した失敗した」
もしくは
と言ってる自分が目に浮かびます。
悲しいですが、
ボツにしました。
7時間という時間を無駄にしたくないが為に妥協してしまうと絶対に後悔すると思いました。
廃棄処分として、スレッドを解いてオスフェルールを差し込んで少し曲げると「ペキッ」と軽い音を立てて簡単にバラバラになりました。
この時の気持ちったらもう。
この日は心が折れて寝てしまいました。
カーボンフェルールを作る
ショックから立ち直った数日後、気持ちを切り替えて作業を再開しました。
今まで散々作ったカーボンフェルールを作ることにします。
しかも今回はブランクが竹なのでオスを削ることも可能ですから、
今までのカーボンブランクよりも摺り合わせが楽にできるはずです。
竹フェルールに比べると鬼のような早さでジャンジャン作って行きます。
ただこのカーボンフェルールの弱点の1つとして見た目(色)の悪さがあります。
これを補う意味と強化を兼ねて、今まではなるべく濃い色のスレッドで巻いていました。
それでも若干透けて地の色の黒が見えてしまいます。
今回試したのがこちらの
「カーボンフェルールのアルミホイル包み」
です。料理じゃありません。
金箔を貼る作業と同じ要領(やったことないですが想像で言ってます)で
アルミホイルを瞬間接着剤で少しずつ貼りました。
その上からシルク(生成)のスレッドを巻きました。(端部は黒のナイロンです。)
これをエポキシコーティングをすればシルクスレッドが透けて
金属フェルールのようなピカピカした見た目になるはずです!!
↓
↓
↓
失敗した失敗した失敗した
光の屈折率がなんやかんやなのでピカピカにはなりませんでした。
(屈折率とかよくわかりませんが適当にそれらしいことを言ってみました。)
でもこれはこれで気に入ったのでこれで行きます。
塗装をする
塗装に関しては経験値がかなり不足していますので、
どのような種類・手法で行うか、かなり迷いました。
私の場合、塗装の目的は
1.ブランクに水が染み込まないようにコーティングする
2.ブランク表面を綺麗に見せる
という2つがメインになります。
それを満たしつつ、費用や匂い、作業のしやすさ、乾燥時間などを考慮した結果、
・・・全然絞り切れません。
とりあえず何かに決めてまずはやってみよう、と思い、
今回のところはこちらで水性ウレタンニスが良い感じにできたので、
バンブーロッドでもこれでやってみることにしました。
水で5倍程度に薄めた水性ウレタンニス(透明クリヤー)にドブ漬けにします。
これは4時間ほどで重ね塗り可能な程度に乾燥します。
手探りで10回ほど重ね塗りしました。
見た目は結構綺麗にできましたが、
正直これで良いのか全然自信がありません。
ガイドを作る
ガイドに関してはこちらでイヤになるほど作って来ましたので
細かい説明は省略します。
材料はアルミパイプ、虫ピン、ゼムクリップです。
グリップとリールシートを作る
これらに関してもこちらでやっていたことと特に変わりないので
細かい説明は省略します。
グリップはいつものようにフリーハンドで削りました。
形状はブランクに合わせて八角形にしてみました。
ウッドスペーサーは以前ヤフオクでまとめ買いしたもの、金具はアルミパイプとアルミ板で作ります。
組み立てる
必要なパーツは全て揃いましたので組み立てて行きます。
組み立てに関してもこちらでやっていたことと特に変わりなく、
特に真新しいことはありません。
慣れない「竹を削る」なんていう工程に比べると、
考え事をしつつ鼻歌を歌いながらできるほど慣れた作業の連続です。
とりあえず組み上がりました
とりあえず組み上がりました。
オスフェルール部分は丸整形にしてあります。
こちらと同じように
フェルールの飾り巻きで何ピース目かパッと見でわかるようにしています。
これを「点棒フェルール」と名付けました。
塗装やエポキシコーティングはこのあと最終調整が必要です。
近所のお寺の庭でラインを通して振ってみた結果、#2~3がマッチしそうです。
銘入れ
銘入れは初めての作業です。
色々なペンやら筆などを検討した結果、
つけペンでやってみました。
理由は、雰囲気が良いと思ったからです!
銘は公募した際の最優秀賞をアレンジして
MistFruit(ミストフルーツ)としました。
日本語にすると「霞の果実」です。
完成
これで漸く完成です。
ラインは#2~3、
6'00"で6ピース、
仕舞寸法は33cm、
重さは52gです。
予想以上に軽く仕上がりました。
過去最高に丁寧に作りました。
エポキシコーティングは乾燥後にサンドペーパーを掛けてから再度コーティングしたり、
塗装はガイドを付けたあとからも5回ほど行いました。
見た目的に悔やまれるのは焼き色にムラがあることです。
次回作があるなら一番改善したいところです。
実釣
小さなヤマメで入魂完了。
すごく曲がるので寄せる時の衝撃吸収率が高く、バレ防止に一役買ってくれそうだと感じました。
- 最終更新:2016-10-31 03:38:20